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コラム:相場の主役はドル安から円安へシフト=亀岡裕次氏


亀岡裕次 大和証券 チーフ為替アナリスト

[東京 28日] - ドル円は3月10日に122円に到達し2014年12月高値をわずかに更新した後、118円台に反落した。こうした動きは、主に円ではなくドルの動きによるものだ。ドルの実効為替が3月にピークをつけた後に3%程度下落している一方で、非ドル通貨の対円為替は2月中旬以降、あまり変化していない。

ただし、ドル円がドル実効為替に連動するように動くとは限らない。例えば、2014年12月から15年1月にかけては、ドル実効為替は上昇したが、円がドル以外の通貨に対してそれ以上に上昇し、ドル円が下落した(ドル高以上に円高が進み、ドル安・円高が進行)。

また、2006年5月から07年6月にかけては、ドル実効為替は下落したが、円がドル以外の通貨に対してそれ以上に下落し、ドル円が上昇した(ドル安以上に円安が進み、ドル高・円安が進行)。このようにドルではなく円の動きがドル円の方向を左右するケースも少なからずある。ドル円を見通すには、ドル相場、円相場、そして両者の(変動の)バランスを考える必要があるだろう。

<米金利低下と商品高でドル円下落>

ドル円がピークアウトした3月10日以降、米利上げ期待の後退による「米金利低下」、原油などの「商品相場上昇」、世界的株高などに反映される「リスクオン」がいずれもドル安に働き、ドル相場が下落。「リスクオン」が円安に働く一方で、米国や欧州などの「海外金利低下」が円高に働き、円相場は小動きとなった。

「リスクオン」はドル安効果よりも円安効果が大きく、ドル円の上昇要因であるから、ドル円下落の原因は、「米金利低下」と「商品相場上昇」によるドル安といえる。

なお、ドル円が下落した2014年12月から15年1月にかけては、「米金利低下」がドル安に働いたものの、「商品相場下落」と「リスクオフ」がドル高に働き、ドル相場が上昇。だが、「リスクオフ」と「海外金利低下」が円高に働き、円相場が大幅に上昇した(リスクオフはドル高効果よりも円高効果が大きい)ため、ドル安・円高となった。

つまり、ドル円下落の原因は、「リスクオフ」と「海外金利低下」による円高だった。同じドル円の下落局面でも、その内容には大きな違いがある。

<商品高がリスクオンに作用へ>

商品相場の上昇は、エネルギーを中心に今後も続く可能性が高い。なぜなら、米国における原油生産が減少し、原油需給が引き締まる可能性が高いからだ。米国におけるシェールオイル・リグ(掘削装置)の稼動数は、すでに昨年10月のピークの半分以下にまで減少している。過去はリグ稼動数の減少から半年前後遅れて生産が減りやすいことから、原油生産は今年4月をピークに減少しやすいことになる。

米エネルギー情報局(EIA)は5月の原油生産が減少する見通しを示している。現実に原油生産が減少すれば、原油価格の上昇が明確化することになろうが、すでに3月最終週以降、原油生産には減少の兆しがある。

また、原油在庫の増加が価格低下の要因となってきたが、原油生産の減少につれて在庫も減少に転じる可能性が高く、実際に前年同期比の増加率が低下するなど在庫減少の兆しも出てきた。米国ではガソリンの需要期で製油所稼働率が上昇(原油処理量が増加)しやすい時期を迎えるので、原油の生産が減少するとなおさら需給は引き締まりやすい。イランの原油生産増が需給緩和要因になることを差し引いても、米原油生産減が原油価格上昇を招く可能性は高い。

新興国の成長(需要)が伸び悩んでいるためにエネルギー以外の商品高は進みにくいが、エネルギーを中心とする商品相場の上昇が、ドル安やリスクオンに作用することになりそうだ。

<米金利上昇がドル高を招く可能性も>

ドル実効為替が今年3月をピークに反落した原因の一つに、米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ期待の後退がある。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明がハト派的とみなされたことなどから米金利が低下し、米国とドイツの金利差縮小に連動するようにドル安が進んだ。

だが、4月に入ると、米国金利が底打ちする一方でドイツ金利の低下が続いたため、米独金利差は拡大に転じ、ドル実効為替レートはやや反発した。ドイツ国債の利回り低下(価格上昇)は、ギリシャの信用不安による「質への逃避」が主な原因とみられる。ギリシャ支援協議が難航しているためにデフォルト懸念が増大し、信用不安による国債利回り上昇がポルトガル、スペイン、イタリアなどにも波及する一方で、ドイツ国債の利回り低下に作用した。

ただし、ギリシャ支援協議がまとまれば、ドイツの金利が上昇して米独金利差が縮小し、ユーロ高・ドル安要因となる。また、リスクオン志向の高まりが円安やドル安要因になる。4月下旬には、ギリシャが年金制度合理化や公的資産民営化などの一部改革で国際債権団に譲歩の姿勢を示したため、支援協議合意への期待も浮上しつつあり、ドイツ金利に反発の兆しが出てきた。

米国では原油高に沿うように期待インフレ率が上昇するようになったため、価格下落リスクが増してきた国債を避けてインフレ連動国債を買う動きが増え、インフレ連動国債利回り(実質金利)が低下した。そして、実質金利の低下がドル安に作用してきたが、実質金利の低下は続きにくいだろう。

実質金利は期待インフレ率と逆方向に動くケースはあるが、いつもそのように動くわけではない。いくらインフレ連動国債とはいえ、その利回りが大きく低下すれば、買いが後退して利回りが上昇に転じやすい。

2011年以降のようにFRBが量的緩和を行っている状況では安心して買い進めることができても、次の一手に引き締めが予想される状況ではそうもいかない。期待インフレ率が上昇傾向にあるなかで利上げ期待の後退は収まりつつあるので、実質金利の低下にも歯止めがかかり、名目金利が上昇傾向に転じてドル高要因になることも十分に考えられる。

<ドル安を上回る円安でドル円上昇へ>

金融当局者の発言などによって利上げ期待が浮上して金利が上昇する場合、株価が下落するなどリスクオフに傾くケースは多いが、景況感改善や信用不安・地政学リスク後退を背景に金利が緩やかに上昇する場合は、むしろリスクオンに傾きやすい。

当面、ギリシャ問題への懸念が残るにしても、主要国経済指標の改善や中国の金融緩和などがリスクオンを強める働きをする可能性は高い。リスクオンになると円安になりやすいが、昨年10月末の日銀サプライズ緩和による円安が進んだ後は、世界株価が上昇しているわりにクロス円上昇(円安)が進んでいない。これはドル買いの一方で他通貨が売られていたことが原因とみられるが、ドル高は止まっているのでクロス円上昇(円安)が進みやすくなるだろう。

ドルと円の変動要因を整理しよう。米金利が上昇に転じることがドル高要因になるだろうが、原油高やリスクオンによるドル安圧力もやや高まると考えられるので、ドルの実効為替は弱含みやすい状況が続くだろう。一方、海外金利が上昇に転じることが円安に働くうえに、リスクオンの高まりが円安圧力を強めると考えられるので、円の実効為替は明確に下落しやすくなるだろう。

これまでは円安よりもドル安が優勢でドル円は下落しやすかったが、今後はドル安よりも円安が優勢となり、ドル円は上昇しやすいと考えられる。

*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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