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米中欧同時取材 日経新聞が慌てて1面で書いたのには理由があった 騒がれ出した世界経済「6月危機」「円安・株高」の季節が終わり、日本経済も激変する(上)

これまでなんとか誤魔化してきた「対症療法」がもう限界。政策当局者たちのあいだに不安と焦りが広がってきた。「勝ち組なき時代」に突入した世界経済。もう、何が起きても不思議ではない。

ウォール街猛者たちの不安

米ラスベガス。一攫千金のアメリカンドリームを狙う者たちが集うこの街で、世界の名だたるヘッジファンドが一堂に介したのは、5月初旬のことである。

一流ホテル・ベラージオを舞台にして、ウォール街のビッグネームたちが勢ぞろいするヘッジファンド業界恒例の一大イベント『SALT』が開催されていた。

日本ではほとんど報じられていないが、「金融界のスーパーボウル」と呼ばれるほどに影響力のあるイベントである。

会場ではマーケットの大物たちが続々と登壇し、惜しげもなく基調インタビューやパネルディスカッションで持論を開陳。その発言ひとつがマーケットを大きく動かすと言われる。

「'13年5月のSALTでは、多くのヘッジファンド運用者たちがアベノミクスを評価したうえで、日本株の魅力を力説しました。それが日経平均株価を急上昇させる牽引力となったのです」

長年、SALTの動向をウォッチしているパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表の宮島秀直氏は言う。

今年も初日からさっそく、物言う株主として知られるサード・ポイントのダニエル・ローブ氏が賢人ウォーレン・バフェット氏の「批判」を繰り広げ、会場は大盛り上がり。さらに、原油価格の先行きをめぐり、業界のご意見番同士が正反対の意見をぶつけあうなど、白熱の議論が交わされた。
ただし、今年のイベントで最大のポイントとなったのは「米国への不安」だったという。

「今回、多くのパネリストが共通して語ったのは、米国の経済回復が経済指標に表れているほど実際は強くないということです。そのうえで、いま米国の中央銀行(FRB)が利上げをしたら、米国経済はその金融引き締めに耐えられるのかとの懸念の声があがったのです」(宮島氏)

米当局も「弱気」

ここ数年、欧州や日本といった先進各国からブラジルなどの新興国までもが不景気に苦しむ中で、唯一と言っていいほど気を吐いてきたのが米国経済である。リーマン・ショックの大打撃からいち早く立ち直り、まさに世界経済のエンジン役を演じてきた。

しかし、その米国経済も安泰とはいえない状況になってきた—。

ヘッジファンドたちがそんな危惧を共有しているというのだから、ただ事ではない。

「実は米国の金融当局者たちも、米景気に強い自信を持てていません」と前出・宮島氏は言う。

「FRBは年内に利上げを実施すると見られています。それは金融緩和策によって景気浮揚させる必要がなくなるほどに、米景気が着実に回復してきたからだというのが『一般論』ですが、実情は少し違います。

私が米国で連邦準備銀行関係者に話を聞くと、『米国が今回利上げするのは、インフレ率と雇用情勢の2要因で金利政策を決定しなくてはならない連銀の長年のジレンマが背景にある。だが、今回は利上げ直後に景気が後退する懸念があり、半年以内に再度利下げする可能性も予め含んでおいてほしい』と驚きのコメントが返ってきました。

連銀100年の歴史を精査しても、利上げをした半年以内に利下げに踏み切ったことなど一度もありません。現在の連銀はそれほど、景気見通しに自信がないといえます」

期せずして、5月6日にはFRBのジャネット・イエレン議長が米国株について「かなり割高」「危険だ」と言及。FRB議長が株価の割高、割安に触れるのは異例のことだが、景況感以上に株価が上がっていく現状への不安から、思わず本音が漏れた形だ。

確かに、在米投資銀行家の神谷秀樹氏によれば、米国経済のリアルな実態は以下のような惨状だという。

◇米国民は株高による恩恵で潤っていると言われるが、恩恵を受けているのは上位5~10%の富裕層だけ。所得格差は依然として大きい。
◇そのため、引退期を迎えたベビー・ブーマー世代も蓄えの不足から簡単には引退できないというのが現状。ガソリン価格の低下は庶民には嬉しいが、その分浮いたおカネを消費に回す余裕もない。

◇米経済を牽引すると期待されたシェールオイル産業がすでに過剰投資状態で、ここへきて設備投資が激減。今後は泡沫企業の倒産が相次ぐ公算が高い……。

米調査機関ジェロム・レヴィ・フォアキャスティングセンターでリサーチディレクターを務めるシリヴァス・ティルワランタイ氏も言う。

「米国を代表するグローバル企業がドル高の打撃を受け、決算が大きく落ち込んでいます。景気を左右する消費も盛り上がってこないので、企業の在庫も増えてきている。今年1-3月期の米GDPが減速したのは寒波などの一時的な影響からと言われますが、それは違う。今年の米国の経済成長率は、がっかりするものになると思います」

中国では偽札が流行

実はいま、米国と並んで世界経済を牽引してきた中国もまた、米国同様、いやそれ以上の苦境に直面している。

中国経済の失速については多く報じられているが、その実態は「安全報道」を心がける大手メディアを見ているだけではわからないほどに惨憺たるものとなっている。

上海を拠点に活動するジャーナリストの姫田小夏氏が言う。
中国では偽札が流行

実はいま、米国と並んで世界経済を牽引してきた中国もまた、米国同様、いやそれ以上の苦境に直面している。

中国経済の失速については多く報じられているが、その実態は「安全報道」を心がける大手メディアを見ているだけではわからないほどに惨憺たるものとなっている。

上海を拠点に活動するジャーナリストの姫田小夏氏が言う。

「上 海を中心とする『長江デルタ』地帯や、広州を含む『珠江デルタ』などは外資系企業の進出ラッシュで活況を呈し、中国経済の牽引役と言われてきました。それ がいまは賃金上昇などを背景に外資系の撤退が止まらなくなり、関連する繊維工場や電子部品工場が相次いで倒産しています。工場の夜逃げも目立ち、逃げた工 場経営者に対して労働者が抗議活動を組織するなど、不穏な空気が漂っている。

その余波で、地元で雇われていた飲食店員、マッサージ師、運転手、通訳なども大量に職を失っています。街には手持ち無沙汰の若者が目につくようになり、上海では『盗みに気をつけろ』が合い言葉になってきました」

中国経済の原動力となってきた不動産市況も、目を覆いたくなるほどにひどい。

バブルと言われるほどの建設ラッシュに沸いた時代は遠い過去のように、現在は新規着工件数自体が大幅に減少。作ったものの買い手がつかずに、「ゴースト化」した高層ビルが当たり前のように目に入る光景が常態化している。

「最 近では、街のあちこちに黒服の若いマンションセールスマンが立っています。中古物件を紹介するチラシを配っているわけです。『上海の不動産はまだまだ値が 上がる』『日本や韓国の投資家も積極的』など平気で嘘八百を並べています。それほどしないといけないほどに、マンションが売れ残っているわけです」(前 出・姫田氏)

あまりの不況ぶりから、最近では偽札が大流行。これまでも最高額紙幣の100元札(約1900円)の偽札は見られたが、最近では50元札の偽札も新登場してきた。

かつては官僚接待に使うために法人客や個人客が外資系ブランドを大量に買い込んでいたが、「反腐敗運動」によってこれも激減。結果として、高級百貨店では閑古鳥が鳴いている。

岡三証券アジア室参事の西胤智氏が言う。

「『世 界の工場』の地位を失った中国では、企業の設備投資が激減しています。不動産不況から不動産関連の民間金融は儲からなくなり、今後は小規模の民間金融で利 払いが遅れたり、デフォルト(債務不履行)するところが増えていくと見られます。中国は今年の年間GDP成長率目標を7%前後と掲げていますが、達成は難 しいでしょう」
株価だけ良くてもダメ

こうした事態を受けたかのように、日本経済新聞は5月12日から『薄曇りの世界景気』なる連載シリーズをスタート。1面をドカンと使って、第1回で米国、第2回で中国を取り上げ、両国経済の先行き不安を指摘した。

言うまでもなく米中という「二大強国」の失速は、世界経済全体を深い谷底へと引きずり込む恐ろしさを秘めている。中でも米中両国に大きく依存する日本経済が受けるダメージは計り知れない。それだけに日経新聞も慌てて、連載シリーズを始めたのだろう。

そもそも、日本では政府が中心となって「景気回復へあと一歩」と喧伝しているが、実際に足元で起きているのはそれとはまったく逆。多くの国民は景気回復の実感もなく、もがき苦しむ「新型不況」が吹き荒れている。

エコノミストの中原圭介氏は言う。

「日 本では円安で一部の大企業が、株高で富裕層が潤っていますが、大半の中小企業や庶民は円安による物価高と実質賃金の低下に苦しめられています。最近、エン ゲル係数が21年ぶりの高水準となったという統計が発表されましたが、これは家計がゆとりを失い、食費以外におカネを回しづらくなっていることを如実に示 しています。

日本銀行の黒田東彦総裁が追加緩 和を発動すれば、また日本は浮上できるという日銀待望論もありますが、それはまったく期待できません。むしろ日銀がバズーカ砲を放てば、さらに株 高&円安は進むでしょうが、実質賃金がさらに下がることで庶民の生活はますます苦しくなるだけです」

三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部長の鈴木明彦氏も言う。

「そもそも、日本企業の輸出は増えてきたと言われますが、それは円安によって金額ベースで増えているだけ。数量ベースではほとんど伸びていません。単純な話で、日本企業の競争力が落ちてきているわけです。

しかも、輸出企業の円安効果も一巡してきており、今後は円安による原材料費の高騰というコスト高問題に相対することになる。ここ半年は原油価格の低下でそれ が相殺される部分もありましたが、今後はそれも剥落する。『円安→デフレ脱却』による負の側面が出てくる時代に突入するのです」

米中日という世界トップ3が水没するリスクが眼前に迫ってきた。

そうした中でいま、経済のプロたちの間で語られ始めたのが世界経済の「6月危機」である。

現在、欧州ではギリシャ問題が大きく燻り、暴発寸前にまで追い込まれている。財政難にあえぐギリシャは金融支援をめぐってEU(欧州連合)などと交渉中だが、その交渉期限は6月末である。
EU側は支援をする代わりにギリシャに大胆な財政緊縮策を求め、片やギリシャ側はすでに緊縮策で国民が疲弊する中で、なるべく緊縮策を拡大することなく支援を受けようと交渉している。

この交渉が決裂し、ギリシャがEUを離脱するなど最悪の形で火を噴けば、米中日だけでなく欧州も火だるま状態になり、一気に世界危機へと発展するというわけだ。

ギリシャからか、日本からか

肝心のギリシャの苦境を知れば知るほどに、その危機が起こる可能性の高さを感じずにはいられない。アテネ在住ジャーナリストの有馬めぐむ氏が言う。

「財 政破綻状態で歳出カットが止まらず、それが国民の生活に多くの支障を引き起こしています。たとえば近くの郵便局では以前は窓口に5人いたのが2人、集配係 も8人体制だったのが2人になったことで、遅配が当たり前になっている。国立病院では薬や衛生用品の納入費を国が支払えなくなってきたため、緊急の手術は 受け付けるが、急を要さない予約制の手術などは無期延期状態です」

ギリシャでは経済自体が停滞しているので多くの人が収入も激減している。有馬氏が続ける。

「さ らに、『多くの公立の保育所では給食センターが廃止され、空腹な子供が増えている』などと報道されています。また、小学校の教師がテレビのインタビューに 答えて、『朝食を満足に食べられない子供が増え、朝から空腹で集中力も体力もない子供たちにどうやって勉強を教えればいいのか』と嘆いていました」

と てもじゃないが、これ以上の歳出カットは受け入れられないというのがギリシャの国民感情だとわかるだろう。そうした中で、「緊縮反対」を掲げて今年1月に 就任したギリシャのチプラス首相はギリシャ国民とEU側の板挟みに陥り、最後の一手であるEU離脱の住民投票に踏み切る—。それが引き金となって、世界が ドロ沼の経済危機へと引きずり込まれていく可能性があるのだ。

最後に付け加えておけば、世界経済危機のトリガーを引くのはギリシャではなく、日本だと指摘する向きも少なくない。

ギリシャ以上の財政問題を抱える日本の「国債問題」が待ったなしの状況になる中で、これが暴発して、日本発の世界危機を引き起こすというシナリオがそれである。

日本リサーチ総合研究所主任研究員の藤原裕之氏が言う。

「日 本には1700兆円近い個人の金融資産があり、これが銀行預金を通じて日本国債の消化を支えてきました。しかし、昨年末に発表された'13年度の統計によ れば、1955年の調査開始以来はじめて、家計貯蓄がマイナスになっています。つまり、国債消化の原資となってきた家計資産が高齢化によって頭打ちする中 で、国債暴落のリスクはこれまで以上に高まってきているといえます。仮に暴落すれば、ハイパーインフレにつながる恐れがあります」

同志社大学大学院教授の浜矩子氏も言う。
「いまは日本銀行が金融政策と称して日本国債を大量購入していますが、この政策には限界があります。そのことに世界全体が気付いているわけで、いつ『危ない』と日本国債を投げ売りされてもおかしくありません。

日 本国債が売られれば、円も売られるし、日本株も売られます。国債、円、株がすべて暴落するトリプル安になるでしょう。そうなれば金利は急騰するので、住宅 ローンなどの借金がある人は返せなくなるし、株を持っている人も株価暴落で資産を失うでしょう。日本発で世界が不況に陥る危険性があるといえます」

そ のタイミングは、黒田総裁が次の「サプライズ緩和」の号砲を鳴らした時だろう。まだそんなおかしな政策を続けるのかとあきれた投資家たちが、その号砲をス タートの合図にして日本国債を売り浴びせるのだ。そして、その日銀の追加緩和は早ければ6月にもあると言われている……。

>>>「騒がれ出した世界経済「6月危機」「円安・株高」の季節が終わり、日本経済も激変する(上) 日経新聞が慌てて1面で書いたのには理由があった! 」はこちら

「週刊現代」2015年5月30日号より
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